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経営財務かわら版 第129号 令和6年4月号

令和6年1月1日以後にやり取りする電子取引データについて、データ保存の義務の適用が開始されています。今月は改めて電子取引データの保存方法の確認と問い合わせの多い質問を記載いたします。

Q. 令和6年1月前後で、電子取引データの保存範囲は変わりますか?

A.電子取引データの保存範囲は変わりません。電子取引とは、取引情報の授受を電磁的方法に行う取引をいいます。

 例えば、従業員が自分のスマホで会社の備品をキャッシュレスで決済購入したという場合も、電子取引保存の対象となる電子取引だと解されています。

Q.電子取引をプリントアウトして書面をファイリングしていたけれど、今後どのように対応すればいいですか?

A.今までプリントアウトした後に消去していたデータを、消去せずに保存する必要があります。【可視性の確保】と【真実性の確保】を満たしていただく必要がありますが、難しいことはありません。

・【可視性の確保】  ①モニター・操作説明書等の備え付け  ②検索要件の充足

 ただし、「2課税年度前の売上高が5,000円以下の者」、又は「ダウンロードの求め」に応じることが出来るようにしていれば②の要件は不要になります。

・【真実性の確保】不当な訂正削除の防止に関する事務処理規定を制定し遵守する。事務処理規定のサンプルは国税庁のHPに掲載されています。ご参考にしてください。

Q. 電子取引の取引情報に係る電子データと書類が取引において混在しています。電子データ自体の保存は電子帳簿保存法の保存要件に沿って適切に対応していますが、電子メール等一定の電子データについては、経理事務の便宜のため、書面に印刷してその他の書類と一緒にファイルに綴り整理しています。このような保存方法を採用して問題ないですか?

A.ご質問のように、電子取引の取引情報に係る電磁的記録を削除せず、電子帳簿保存法の保存要件に沿って保存した上で、当該電磁的記録を書面に出力し、その他の書類と一緒に整理することに何ら問題はありません。

Q.インターネットバンキングを利用した振込等も電子取引に該当し、振込等を実施した取引年月日・金額・振込先名等が記載されたデータの保存が必要とのことですが、金融機関のオンライン上の通帳や入出金明細等による保存も可能でしょうか?

A.インターネットバンキングを利用した振込等にかかるデータについては、そのデータ(又は画面)をダウンロード又はPDFファイルを作成するなどの方法により保存することが必要です。その他、ご質問のように金融機関のオンライン上の通帳や入出金明細等による保存も可能です。

 なお、オンライン上の通帳等による保存の場合、オンライン上の通帳等の確認が随時可能な状態であるときは、必ずしもオンライン上の通帳等をダウンロードして保存していなくても差し支えありません。

Q.人手が足りなくて準備が間に合わない場合はどのようにしたらいいのでしょうか。

A.一定のルールに従って電子取引データを保存することが出来なかったことについて、所轄税務署長が相当の理由があると認めるとき(事前申請等は不要)、税務調査の際に電子取引データのダウンロードの求め、電子取引データをプリントアウトした書面の提示・提出の求めにそれぞれ応じることが出来るようにしている場合、猶予措置の対象となります。

Q.猶予措置の対象となる対応が出来なかったことについての相当の理由とはどのようなものでしょうか?

A.例えば、その電磁的記録そのものを保存は可能であるものの、検索機能の確保の要件など、保存時に満たすべき要件に従って保存するためのシステム等や社内のワークフローの整備が間に合わない等といった、自己の責めに帰さないとは言い難いような事情も含め、要件に従って電磁的記録の保存を行うことが困難な事情がある場合を対象とするものであり、資金的な事情を含めた事業者の経営判断についても考慮がなされることとなります。単に経営者の信条のみに基づく理由である場合等何ら理由なく保存していいない場合は猶予措置の適用とならないことに留意くだい

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