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人事労務かわら版 令和6年6月号

顧客等からの暴行、脅迫、暴言、不当な要求等のカスタマーハラスメント被害は大きな社会問題となっています。昨年の9月に厚生労働省は「心理的負荷により精神障害の認定基準」を改正し、カスタマーハラスメントを追加しました。“カスハラ”については企業そして社会全体の関心が高まっています。

今月は、企業の従業員に対する安全配慮義務の点から、カスハラをご説明します。

〇カスタマーハラスメントとは

顧客等からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段、態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・様態により、労働者の就業環境が害されるもの

企業等の使用者が従業員の安全や健康に配慮する義務を負うことは、労働契約法(労契法)5条にも明記されています。例えば、社内のパワハラ等を放置し何も対応しなかった場合に安全配慮義務を問われることになりますが、これと同様カスハラについても対応しなければ同義務違反の可能性が生じます。

〇カスタマーハラスメント対策の基本的な取組み

 カスハラ対策に取り組む企業へのヒアリングにおいて、従業員を守るということを行動で示す大切さを会社組織として再確認できる、人材の確保が難しいい中、カスハラ対応等により職場環境をよくすることで離職者を減らすことにつながるといった意見も確認できています。

 企業においては、カスハラ対策を進めることで、前向きな効果が期待でき、対策に取り組む意義は大きいと考えられます。

〇カスハラの加害者とならないために  

 B to C型のカスハラは一般に消費者等から企業側に対して行われますが、B to B型の場合、自社の従業員が加害者になる可能性にも注意が必要です。従業員が加害者となることがないように、社外の相手方に対する言動等について研修等で周知啓発を図っていくことが重要です。国や自治体だけでなく企業も「人権」を尊重しなければならないという意識が急速に高まっており、「人権損害を行っている企業とは取引をしない」という流れができつつあります。従業員によるカスハラという人権侵害行為が発覚すれば、その企業に生じるダメージは想像以上に大きくなる可能性もあると考えられます。

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